「水性=雨に弱い」はウソ!?水性塗料の特徴とメリット・デメリットを徹底解説!

最近はシンナーなどの独特な臭いがしない「水性塗料」が外壁塗装のテッパンになってきました。

しかし「水性って耐久性大丈夫なの…?」「雨風で落ちたりしないの…?」と当社でもよくご相談いただきます。

そこで本記事では、そもそも水性塗料とは何なのか、油性と比べて何がいいのか?を、塗装のプロの目線から詳しく解説します!

この記事でわかること
  • 水性塗料とはどんな塗料か?
  • 水性塗料の「弱い・落ちやすい」は昔の話!?
  • 逆に「水性塗料を選ばないほうが良いケース」は?

「水性塗料」とは?

水性塗料とは、その名の通り「水」を主成分とする塗装用液体で、水で薄めて使う(希釈する)塗料の総称です。塗料が乾く過程で水分が蒸発し、残った樹脂などの成分が固まることで壁を守る「塗膜(とまく)」を形成します。

「マンション塗装」を経て、戸建てでも人気に!

少し話はズレますが、外壁塗装で一番クレームになりやすいのが「異臭問題」です。

特にマンション・アパートなど多くの居住者がいらっしゃる場合は顕著で、塗装業者もできるだけクレームにならないような施工を心がけていました。

そこで、マンション塗装の異臭問題を解決するために試験的に水性塗料を使用し始めたのが、外壁塗装における水性塗料の活用のはじまりといわれています。そこでの評判や耐久性が評価され、近年では戸建て住宅の塗装にも使用されるようになったというわけです。

足立区の“8割以上”が水性塗料

余談ですが、当社が塗装を行う東京都足立区・荒川区では、約8割以上のお客様がこの水性塗料をご選択いただいています。

ただ水性と聞くと、雨風で落ちちゃうんじゃないの…?と思われるかもしれません。ここからは「水性=落ちやすい」の真偽について詳しく解説していきましょう!

「水性=落ちやすい」は間違い!

ここからは当社でもよくいただく以下の質問に回答していきます!

  • 油性の方が耐久性があるんでしょ?
  • 水性=雨に弱いんでしょ?
  • 職人さんの推奨は「油性」って聞いたけど…?

Q:油性の方が耐久性があるんでしょ?

A:耐用年数は「水性 or 油性」では決まりません

最も多くいただくご質問が「水性は油性より弱いんでしょ?」ということです。確かに水性塗料が出始めた頃(20年くらい前)は油性の方が吸着力が強かったのですが、今は“そうではない”というのが結論です。

というのも塗料の耐久性を決める一番の要因は「水性 or 油性」ではなく、主成分である「樹脂のグレード」です。同じグレードの「シリコン塗料」なら水性・油性で耐久性に大差はなく、高価なフッ素や無機といった最高級グレードにも水性タイプは存在します。

つまり「水性だから弱かった」という方の意見は「そもそも低いグレードの塗料を選んだから長持ちしなかった」。これが本当のところなのです。

他の塗料のグレードに関しては別記事でも解説しています。

Q:水性=雨に弱いんでしょ?

A:乾くと“水に溶けない塗膜”になります。また「水性=雨に弱い」と思われやすいですが、これも実は間違いです。

水性塗料は、水で希釈した塗料が蒸発して固まるわけですが…、この蒸発(乾燥)する過程で化学変化が起こり「水には溶けない強固な膜(塗膜)」へと変化します。

一度しっかりと乾いてしまえば、その後に雨で流れ落ちる心配は一切ありませんので、ご安心ください。

Q:職人さんの推奨は「油性」って聞いたけど…?

A:ご要望によります。ツヤ出し重視なら油性を採用することもあります!

「プロは、性能が良い油性塗料を好んで使うものだ」と思われている方もいるかもしれません。

確かに油性塗料は乾燥が早く、ピカピカの艶が出しやすいなど、施工者にとって扱いやすい面もあります。しかし、それ以上に強烈な臭いという大きな難点があります。一日中シンナーの臭いに囲まれて作業することは、職人自身の健康にとっても良いことではありません。また、施主様やご近所様への負担を考えれば、なおさらです。

だからこそ、「もし同じくらいの耐久性や性能が出せるなら、臭いが少なく安全な水性塗料を使いたい」というのが、今の時代の多くの職人が抱く本音だと思います。塗料メーカーのたゆまぬ努力のおかげで水性塗料の性能が格段に向上した今、私たちは自信を持って水性塗料をお客様におすすめしています。

「ピカピカの艶を出すなら油性」という考えは半分正解です。確かに強い光沢を出すのは油性塗料が得意な場合があります。しかし、そもそも現代の住宅では、ギラギラした艶よりも、落ち着いた上品な質感が好まれる傾向にあります。そして、「3分艶」や「艶消し」といった繊細な艶の調整は、むしろ水性塗料の得意分野なのです。

「強い艶=良い塗装」というわけではないことを知っていただけると幸いです。

Q:水性塗料って安物なんでしょ?

A:塗料価格は水性/油性ではなく「グレード」で決まります

「水で薄めるから安いのでは?」というイメージもあるようですが、これも違います。先ほどお話しした通り、塗料の価格を決定づけるのは、希釈剤が水かシンナーかではなく、主成分である「樹脂のグレード」です。

樹脂グレード

耐用年数の目安

特徴

アクリル

5~7年

最も手頃だが、耐久性が低い

ウレタン

7~10年

柔軟性がある

シリコン

10~14年

コスパが良く、現在の主流

ラジカル制御型

12~15年

シリコンの弱点を克服した高性能品

フッ素

15~20年

高耐久だが、高価

無機

20~25年

最高級グレード、非常に高価

ご覧の通り、塗料の価格はピンからキリまであります。

例えば、15年以上の耐久性が期待できる「フッ素塗料」や、20年超の寿命を誇る「無機塗料」は、シリコン塗料の倍近い価格になることも珍しくありません。そして、これらの高級グレードにも、もちろん水性タイプは存在します。

「水性塗料=安物」という考えは当てはまらないと思っていただいて問題ないです。

【実は】NASA開発の技術を建築業界に転用していた!

水性塗料は「環境にやさしい・臭いが少ない」という理由で注目されがちですが、その背景には驚くべき進化と歴史があります。実は、現在の高性能な水性塗料の原型は、1960年代にNASAの宇宙開発で培われた「水分散型樹脂技術」に由来しています。そこからのちに建築分野へ転用されたわけです。

また水性塗料の「耐候性」や「防カビ性能」は自然界の“蓮(はす)の葉”からヒントを得た「ロータス効果」に基づいて改良されました。微細な粒子構造が雨水で汚れを落とす自己洗浄性を実現しているんです。さらに、最新の水性塗料はナノテクノロジーの応用により、金属やガラスにも密着可能になっており、「オールマテリアル対応塗料」への進化を遂げつつあります。

単なる“水で溶いた塗料”ではなく、実は最先端技術の塊というわけですね!

【おさらい】水性塗料の特徴・メリットはこれ!

改めて水性塗料の特徴をまとめます。

メリット1:人と環境に優しく、臭いが少ない

水性塗料における最大の長所は、「シンナーの含有量が少ない」ことです。

つまりシンナー特有の刺激臭はほとんどありませんから塗装工事中のご近所への配慮はもちろん、小さなお子様やペットがいるご家庭、化学物質に敏感な方でも、安心いただけます。

また冒頭でも少しお話しましたが、実は外壁塗装のクレーム・トラブルの大きな要因は「臭い」なんです。特に私たちの施工エリア「足立区・荒川区」などは住宅団地も多いわけですから「異臭クレーム」も気をつけなけれないけません。

その点、ご近所様とのトラブルになりにくく、かつ有害な成分が極めて少ないのがまず「塗装をしやすい」という第一ステップとしても優れていますね!

タムラ塗装で過去に起こった「臭いトラブル」についてはこちらの記事でも解説していますのでよければご覧ください!

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他の記事やYouTubeでも解説していますが、実は外壁塗装は「騒音」や「臭い問題」などで、稀にご近所様からクレームをいただくことがあったりします。 我々業者へのクレームであればいいのですが…、お客様の方にも被害が入ってしまうのは私たちとしても防ぎたいのが本音です。 そこで本記事では「どういった時

メリット2:湿気を逃がすので、冬場の結露が起こりにくい

水性塗料の塗膜には、水蒸気のような細かい湿気は通し、雨水のような大きな水の粒子は通さない性質があります。

これは水性塗料の塗膜に非常に細かい穴が無数に開いているような構造になっているからです。

これを「透湿性(とうしつせい)」と呼びます。壁の内部にこもりがちな湿気を外へ逃がし、建物の結露や内側からの劣化を防ぐ手助けをしてくれるのです。

水性塗料だからこそ防げること

結露防止:建物内部の湿気を外部に逃がすことで、結露の発生を抑制します。

腐食防止:湿気が原因で起こる外壁や建材の腐食を防ぎます。

塗膜の膨れ・剥がれ防止:内部に湿気が溜まることによる塗膜の膨れや剥がれを防ぎます。

建物の耐久性向上:上記の効果により、建物の寿命を長く保つことができます。

メリット3:上品な「艶消し(マット)」仕上げも得意!

ピカピカとした光沢のある仕上げだけでなく、油性塗料では難しい、落ち着きのある「完全な艶消し」にできるのも水性塗料の魅力です。デザインにこだわりたい方にとって、表現の幅が広がるのは嬉しいポイントですね!

油性塗料との比較でわかる違い

もう一方の「油性塗料」とは何が違うのでしょうか。

油性塗料は、シンナーなどの「有機溶剤」で薄めて使う塗料で、古くから使われてきました。(※慣習的に油性と呼ばれますが、正確には溶剤塗料と言います)

両者の違いを簡単な表にまとめてみました。

項目

水性塗料

油性塗料(溶剤塗料)

薄める液体

シンナー等の有機溶剤

臭い

ほとんどない

強いシンナー臭がある

安全性

人や環境への負荷が少ない

健康や環境への配慮が必要

塗膜の性能

近年、性能が大きく向上

密着力や耐久性に優れる傾向

施工性

気温や湿度に影響されやすい

乾燥が早く、安定している

主な用途

一般住宅の外壁・内装

鉄部や屋根など過酷な環境

こうして見ると、「やはり性能面では油性の方が強いのでは?」と感じるかもしれません。実際、油性塗料は強力な塗膜をつくるため、厳しい環境に置かれる鉄部や屋根などで今も活躍しています。

しかし水性塗料の技術進歩は目覚ましく、その性能は驚くほど向上しました。かつての「水性=弱い」というイメージは、もはや過去のものになりつつあるのが本当のところです。

水性塗料が向かないケース:鉄部の塗装

ここまで水性塗料の良さをお伝えしてきましたが「どんな場合でも絶対に水性が良い」と言うつもりはありません。

プロとして水性塗料が最適とは言えない、むしろ油性塗料を選ぶべき状況があることも、正直にお伝えします。

その代表例が、サビとの戦いになる鉄部の塗装です。

  • ベランダの手すり
  • 雨戸やシャッターボックス
  • 鉄骨の階段

こういった鉄でできている部分は、サビの発生が一番の敵です。油性塗料は、素材に深く浸透してサビの発生を強力に抑え込む力や、下地への密着力に優れています。

そのため、こうしたサビやすい箇所には、水性よりも油性(溶剤)塗料を使用することが現在でも基本です。ほかにも、建物の状態や環境によっては、専門的な判断で油性塗料をおすすめする場合があります。これらは、私たちプロが建物の状態を隅々まで診断して初めて判断できることです。

「私の家はどちらが良いのだろう?」と少しでも不安に思われたら、必ず信頼できる塗装業者に相談してください。

後悔しない塗料選びで、本当に大切なこと

ここまで解説してきたように、外壁塗装で使われる水性塗料の「弱い・安い」といったイメージは、もはや過去の常識です。技術が進化した今、塗料選びの判断軸は大きく変わりました。

大切なのは「水性か、油性か」で悩むことではなく、「どの樹脂グレードを選ぶか」、そして「建物のどの場所に使うか」という適材適所の視点を持つことなのです。

この記事のポイント

  • 耐久性・価格は「樹脂のグレード」で決まる
  • 水性塗料は化学変化で硬化し、雨で流れない
  • プロも安全性から水性を積極的に選ぶ
  • 鉄部など油性が適した場所もある

しかし、ご自宅の状態を正確に診断し、数ある塗料の中から最適な一つを見つけ出すのは、専門家でなければ難しいでしょう。だからこそ、私たちは創業から40年以上、足立区・荒川区で4000件を超えるお住まいと向き合い、一軒一軒に最適なご提案を続けてきました。

「うちの家には、結局どの塗料が良いんだろう?」そうお考えでしたら、ぜひ一度、私たちにご相談ください。無理な営業は一切いたしません。あなたの家の10年後、20年後を一緒に考え、後悔のない塗装工事を実現するお手伝いをさせていただきます。

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